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本格小説


本格小説〈上〉 

本格小説〈下〉

読了後、ほぉ~っとため息をついてしまいました。

文学少女だった頃『ジェーン・エア』や『嵐が丘』を読んだときと同じように
夢と現実の区別がつかなくなるような世界に深く引きずり込まれました。
それもそのはず。この小説は『嵐が丘』を換骨奪胎した作品なのですね。
(そんな言葉で表現するのは失礼ですが、いまをおいて、この四文字熟語を使う機会はない気がするので)
久々に壮大な物語を楽しみました。

物語に加えて、わたしが心を動かされたのは語り手の小説家としての姿勢です。
少し引用してみます。

……「職業」という欄がもうけられている。そこへくると私はいつも戸惑いを覚える。そんなところに「小説家」などと書き込む必要はないのかもしれない。だが、「職業」という字を眼の前に、私が今までわずか二冊の小説しか書いておらず、その印税だけでは生計が立たないことを思い起こすのである。そして、下手な字で「自由業」と書き込んだりしながら、いったいこの私に自分のことを晴れて小説家と呼べるようになる日がくるのだろうか、小説を書いて食べていけるようになったらさぞ満足だろうなどと考えるのである。
 だが、このような悩みは「職業」をめぐる悩みである。駅前に洗濯屋の看板を出した人が商売が成り立つかどうか悩むのと基本的には変わらない。この世で食べてゆかねばならない人間にとっては深刻な悩みだが、小説を書こうとする人間にとってはもっとも深刻な悩みではない。もっとも深刻な悩みは「天職」をめぐる悩みである。
(中略)それは小説家といえでも芸術家であり、芸術家というものは食べてゆけるかという以前に、自分が芸術家として生まれてきたか――自分が運命の星のもとに芸術家として世に送り出されてきたのかどうかを問題にせざるをえないような存在だからである。甲が小説家であり、乙が小説家ではないということは限りなく恣意的なことでしかない。だからこそ、天からの声がひそかに耳元に鳴り響き、お前は小説家になるために生まれてきたのだ、それが天の意志であり、天の摂理である、と告げてほしいと人一倍思うのである。(引用終わり)

読書ノートはこんなふうにつけました。
20150108-1.jpg 20150108-2.jpg

ところで、この作品は英語にも翻訳されているんですよね。
余力があれば読んでみたいです。




A True Novel



A True Novel (Kindle版)


本格小説〈上〉 

本格小説〈下〉




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COMMENT

私も好きです

イギリス小説のテイスト満載の読後感ですよね。
こういう読み物を読みふけるしあわせとは
最近とんとご無沙汰です。。。
小説世界に純粋に浸れるのって
若いうちの特権かなぁ、と思います。
いろいろ読んでおいてよかったなぁ。


Re: 私も好きです

とみきちさん

いやいや、まだこれから。
若いときとはまた違う楽しみもあると思います。
この「本格小説」の最後のひねりは、若いときにはわからなかったと思うな。
それから、すべての人がいなくなってしまうという虚無感というか
寂しさというか、そういう感情も。

読み方が変わりますね

>若いときとはまた違う楽しみもあると思います。

そうそう、まったく違ってきますよね。
印象すら変わることもある。

若い頃は、とにかくその世界に没入する喜びというか
浸り切る喜びを読書に求めていた気がします。

そういう読み方ができなくなったなと思うんです。
必ずしも悲観的な意味で言っているわけでなく
それが当然だと思うので、若い頃に没入読書を
いろいろできたのは幸せだったなと。

>この「本格小説」の最後のひねりは、若いときにはわからなかったと思うな。

そう言われてもピンと来ない
というか、忘れてしまっている……(汗)



Re: 読み方が変わりますね

とみきちさん

コメント承認、うっかり忘れていてごめんなさい~。


> そうそう、まったく違ってきますよね。
> 印象すら変わることもある。

年齢だけでなく、そのときに自分が置かれた環境とか、自分の精神状態とか
いろいろな要因で本の感想は変わるから、ぴったりと合う本に出合えると
幸せですね。

本当は同じ本を何度も繰り返し読めるといいのだけれど、新しい本を
どんどん読みたくなってしまいます。

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