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Author:りかこ
月沢李歌子 翻訳家です































































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宝塚歌劇雪組東京特別公演「カラマーゾフの兄弟」

2回目の観劇。

宝塚版「カラマーゾフの兄弟」は原作の壮大な世界の一部を切り取ったものにすぎない。わたし自身も当時のロシア社会や文学について勉強不足は否めず、人間ドラマを中心に見ていくことになる。今回強く感じたのは、イワンを除く主要登場人物が、それぞれの形で神の救いを求めていることだった。しかし、神がだれを救うかは、最後の審判のときまでわからないものだ。

そして、救われたのはイワンだった。無神論者イワンは神を否定しただけでなく、家族にとっては神に等しい存在ともいえる父フョードルを(間接的ながら)殺した。その罪の重さに錯乱し正気を失うが、そんな彼を見て、兄ドミートリーがかわりにその罪を背負う決意するのである。イワンが軽蔑してきたドミートリーが、彼の救い主、すなわち人間の原罪を贖うために十字架にかけられたキリスト(神の子)となったのだ。

ドミートリー(水夏希)の腕のなかで、体を強ばらせ、うつろな目で空を見つめるイワン(彩吹真央)の姿に、わたしは涙を止めることができなかった。暗転後、ドミートリーとグルーシェニカ(白羽ゆり)のデュエットのあいだも泣き続けた。舞台の感動を味わう時間をくれるのがありがたかった。

「青春の終わりに」は実に良い曲だ。この作品が希望と再生の物語であることを感じさせてくれる。「父殺し」は子どもが大人になるためにやり遂げなければならない通過儀礼(イニシエーション)である。カラマーゾフの兄弟たちは、文字通り父を殺し、その死を受容し、乗り越えていくことで新しい道を歩き始めた。道は容易ではないかもしれないが、「青い季節」は終わり、ドミートリーもイワンもアレクセイも、現実の世界に向き合いながら生きていくのだろう。

時よ止まれ、お前は美しいから――ゲーテの言葉を叫びたくなるような素晴らしい観劇のひとときだった。 


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初の自著です。おもに会社勤めをしながら、翻訳の仕事をしていた10年間について書いています。 あなたもやりたいと思うことをあきらめずにやってみませんか?
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